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2月6日
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岡潔さんの「春宵十話」という本(エッセイ)を薦められて読んでみました。

岡さんは明治34年生まれの数学者で、この本は昭和38年に初版されていますから、この本の内容は私が生まれる前の言説ということになります。

時代が異なることもあり、同意しかねる内容も含まれていましたが、総じて今の世にも通用する含蓄の富んだ思考であり、学ぶべきことの多い本でした。

 

「目の前によいものがある場合にこれをよいと見るほど簡単なことはないと思うのに、これがなかなかできない。」

「大衆のこころの不変の特徴は、ものの欠点だけが目につくこと、不公平が承服できず、また、全くこらえ性がないことである。

そして、悪いのは自分ではなく、他人だと思いこむことである。」

「何よりいけないことは、欠点を探して否定することをもって批判と呼び、見る自分と見られる自分がまだひとつになっている子供たちに

この批判をさせることである。こうすれば邪智の目でしかものを見られなくなり、本当の学習能力はなくなってしまうのである。」

「貿易自由化によって、日本は激しい国際競争の舞台に乗り出そうとしている。(略)いまこそ独創がどんなに大切か、わかっているのだろうか。

少なくとも義務教育の現状はとうてい独自の見解などは期待できないありさまである。(略)

これまで日本民族は、(略)一度も激しい競争などはやったことがない。だから独創とコピーの区別など知りもしないだけでなく、

コピーのほうを信用して「私はこう思う」などというのは信用しない。実質よりも形式や観念のほうを大切にする。」

「文化の仕事というものは心境を深めていけばおのずから開けていくものだ。」

 

これが40年以上前の人の認識とは、と驚くとともに、人の成長とは何だろうかなどとと考えさせられます。